先週、中国の西安に出張してきました。いろいろ方にお会いし、現地の物価やショッピングモールや百貨店から、一般庶民が愛用するお店まで視察してきました。
マクロ的な数字や、統計データをいくら集めても、現地での実感値がないと読み取れないからです。何より重要な現地の人の行動原理や、今の気分がずいぶんとインプットできました。おかげで、僕自身もかなりのエネルギーをもらえたようです。
■なぜ西安だったのか?
検索したらちょうどよく、こんな記事が出てきました。説明代わりに紹介します。
習近平時代への期待 後ろ盾で「西安」へ巨大投資
たしかに西安への投資はすでに巨大なスケールになっている。空の玄関である西安咸陽国際空港は年間の利用旅客数が1500万人、貨物取扱量が16万トン、飛行機の離着陸回数は16万回で、これらの年間増加率はすべて2桁増を誇る。
現在は100億元(約1200億円)を超える予算の下、第3ターミナルが建設中で既存のターミナルの4倍規模。完成すれば中国の三大空港の一つとなろう。
鉄道関連では現在改修工事中の西安北駅も西安駅の3倍以上の規模で東洋全体でも有数の広さだ。地下鉄の建設も急ピッチに進められている。実は私も西安にある西北工業大学での集中講義のため今月に2週間、西安を訪問する。C自慢の西安の大発展の様子を直接見ることを今から楽しみにしている。
写真がその新幹線の駅です。しかし、写真中央に見える薄緑の部分は壁ではなく、ただの間仕切りです。つまりあと半分同じスペースがあるのですがまだ使われていませんw
まさしく西安は急ピッチで成長中でした。新幹線の駅に行ってみたら、国際空港並の巨大さ。それでも、まだ動いている路線は少なく駅の半分しか使っていません。市庁舎も北側に移転し、領事館街が新しく建設中で、いままでの中心街から離れた場所でも、都市計画ががんがん進んでいました。
上の写真は西安の中心部ですが、城壁の中は歴史的な建造物や街並みを重視した観光都市・古都長安として計画的にデザインされています。夜になると古い建造物はライトアップまでされます。(明の時代に復元された物らしいですが、十分古い!)
もちろん物価も高くなってきていますが、それにもまして都市が発展し、住んでいる人たちが経済発展の恩恵を受けているタイミングです。多くの人が自分で、チャンスを掴もうと躍起になっている時期です。
日本にいると中国の経済成長は踊り場というトーンのネガティブなニュースを目にしますが、あんなに広くて内陸と沿岸部の格差がまだまだある中国を一つでくくれるわけがありません。そのため、内陸都市で今から成長していく西安を実際に見ておきたかったのです。
■あの時代の落ちこぼれが活き活き活躍できる社会
現地の方のお宅で、西安家庭料理をいただきました。とはいっても、束縛されずに自由に動きたいからと、家事も育児もいとこにアウトソーシングしていました
お世話になった現地の方が、言っていたことですごく印象的だったことがあります。
「このタイミングの中国に生まれて、良かったねぇ」と。
てっきり経済発展のことを言っているのかと最初は思ったのですが、もっと深い意味がありました。
小さい頃は、中国が世界で一番良い場所と信じさせられていたそうです。しかし観光都市である西安には海外からも外国人がやってきて、彼らの持っている物やプレゼントしてくれる物を見て、もっと世界を知りたいと思ったそうです。
そういう考えを持っていたので、小学校では落ちこぼれで、お前の思想はおかしいと指摘されていたそうです。しかし、小さい頃落ちこぼれだった人物が、外国語を学び、海外に留学し、今では西安に戻って、チャンスを見つけて活き活きとビジネスを楽しんでやっています。
一つの主義に染まらなくても、チャンスを得られる社会になったから、「このタイミングで良かった」と考えていたのです。さらには「何かに所属するのではなく、こうやって自由に仕事できているのはいいね!」と。なにより束縛が嫌いと言い切ってました。
もちろん、先進的な考え方をしている一個人の例かもしれませんが、僕と価値観が近しいので、話も盛り上がるし、心の距離がすごく近くなります。最近は、国ではなく、価値観の違いのほうが大きな隔たりに感じてきます。
■「ハイブリッド」に生きられる喜び
今回の西安出張でも再認識したのですが、僕らは「ハイブリッド」に生きられる恵まれた環境にあります。
一つは先進国の中で、少子高齢化・長引くゼロ成長という国で変わっていく価値観を目の当たりにしながら、新しい「生き方」を生み出す環境に自分を置けるのです。僕自身、個人が主役となる時代の生き方のロールモデルを生み出すために、日々楽しく格闘中です。
もう一つは、自分たちが属するアジア圏がこれからまだまだ成長していく中で、自分たちの持っている知見や技術・センスを活かしてビジネスができる。今からチャンスのある新興国に行くと、ビジネスチャンスは本当にたくさんあります。ただし、決まっていないことやどうなるかわからないことが多いので、日本的な合議スタイルではなく、意志決定権を自分が持って柔軟に動ける環境であれば、多くのメリットが得られるでしょう。
この二つの環境を両方楽しめるのが、ハイブリッドに生きられる僕らの特権だと思っています。
こうやって他国の個人とも価値観で繋がって、個人同士がチームを組んで機会をものにしていける素晴らしい環境を手に入れられます。
僕も「このタイミングの日本に生まれて、良かったねぇ」と思っています。
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