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2014/01/30

マイクロパブリッシングの可能性と課題(「Publication 出版の未来」イベントに参加して)



昨日、みどり荘で行われたInspired Session "Publication"に参加してきました。いろいろと自分の中でも考えておきたいテーマだったので、ここに感じたことを残しておきます。(参加できなかった人のためにも)
今回のテーマは、”publication 出版の未来"〜DIYで本を出すことの面白さや経済性とは〜 

本が売れないと言われて久しい。ただそのような中、今までの常識と異なる方法で手に取って嬉しい本や雑誌が生み出され始めている。
事実、このソーシャルネット社会では制作者と読者が直につながることが可能になってきており、小さなDIY出版の作品が広く世にでることも難しい事ではなくなったのかもしれない。ただ、それでもクオリティを担保しつつ、限りある予算で作っていく事はそう簡単には行かないはずだ
今回はDIYで本や雑誌づくりをしている方をゲストに、どのようなパッションが行動に結びついているのか/編集チームはどうなっているのか/エコノミクスとの関係はどうなっているのか等々その背景や取組みに迫りながら、出版の未来を探っていきたい。 
ゲストは以下のお三方。

影山知明さん 西国分寺にあるクルミドコーヒー店主であり、お店のお客さんが著者となり始めたクルミド出版発行人。

『10年後、ともに会いに』寺井暁子著、『やがて森になる』小谷ふみ著と二冊出版されています。


堀江大祐さん メディアサーフコミュニケーションズ株式会社。青山国連前ファーマーズマーケットの季刊誌NORAHを編集。



岡島悦代さん 自由大学コンテンツディレクター。PortlandのガイドブックをDIYで出版したプロジェクトマネージャー。





■想いを伝える、世界観を体験してもらうための手段として紙の本を選んだ


三者とも共通しているのは、リアルなコミュニティがあり、その活動や想いを伝えるために、自分たちが版元となって出版していること。そして出版も編集の経験もなく、飛び込んでいるということ。

クルミド出版には、クルミドコーヒーというカフェが。NORAHにはファーマーズマーケットが、TRUE PORTLANDには自由大学およびファンダーの黒崎さんが長年培ってきたポートランドとの関係性があった。先にコミュニティがあり、その母体から情報を発信している中で、出版という手段を取ったというのが印象的です。

例えば、クルミド出版であれば、クルミドコーヒーというお店の世界観である「50年続くカフェを作りたい」という想いが根底にあります。だからこそ、本棚に置いてもらい、背表紙を見たときに読んだときの感覚が浮かび上がる本を作ることになったそうです。

NORAHであれば、ファーマーズマーケットの背景にある考え方やカルチャー。TRUE PORTLANDであれば、「ガイドブックはめくってもらって、なんぼ」というコンセプトのもと、現地に行って体験してもらいたいからこそ、作られています。


■インディペンデントだから媚びる必要がないことの重み


どの本も装丁や印刷、紙、もちろん内容・・・どこをとっても、「なぜこうしたのか」という話が出てきます。伝えたいことがあって、その上で「本という手段」を選択しているからこそ、表現手段としてすべてにこだわりがあります。

NORAHの「このメッセージを伝えているのに、途中に純広が入ってしまったら、読者は冷めちゃうでしょ」という読んでいる人の体験を意識しているという話や、TRUE PORTLANDの「取材したお店や関わってくれている人のことを思うと、中途半端なものを作るわけにはいかない」という話も、インディペンデントなものだからお手軽ということではないことを表しています。

自分たちで始めたからこそ、言い訳せずに裏切らない本を創る責任があるわけです。


■本を創るのはなんとかなる。課題は売り方・・・。


TRUE PORTLANDは、ポートランドのガイドブックとして多くの人に知ってほしいということで、取り次ぎも通して販売しているそうですが、クルミド出版とNORAHは自分たちで販売先も選定していて、闇雲に流通を拡げることよりも大事にしているものがあるようでした。

NORAHでは、ファーマーズマーケットに出店してもらう農家さんを直接訪れて、現地を見て話をしているのと同じように、本を扱いたいと言ってくれた書店さんに会いに行ったり、電話で話して想いを聞くようにしているとのこと。

書籍をビジネスとして始またわけではないからこそ、丁寧にこだわって作った手触りのある本を“流通でも”おざなりにしたくないという意志が伝わってくる話です。

これこそマイクロパブリッシングで大事なことなのかもしれません。

自分たちのやっていることをちゃんと伝えたい、自分たちのコミュニティを誇りに思っているところからスタートしているからでしょう。

とはいえ、想いに共感してくれる販売先やコミュニティがある彼らでも、販売に関しては苦労しているとのこと。マイクロパブリッシングで出したものが、ちゃんと届くべき人に届く仕組みが未整備だということは、大きな課題です。


■最後に感じたこと

もともと活版の出自から振り返っても、教会という権威から知識を解放するために、生まれたのが出版という武器。

今回のマイクロパブリッシングの話を聞いていて、彼らがやっていることは、この文脈に沿っていて自然な行為だと感じました。

いつのまにか、出版=出版社という固定概念を、知識を解放するには「一次情報」を一番持っている人が作ればいいんじゃない?という、問題提起とも受け取れます。

出版社にいる編集者が、自分がいだいた疑問を取材を通して解消し伝えるのも、最前線で戦っている人が、著者として見えているものを発信するのも、編集は素人だけれどこの分野で伝えたいことがあるという人が、出版までやってしまうのも、どれも並列なんだと思います。

問われているのは、一次情報の濃密さと、それを最後まで丁寧に形にして届ける情熱です。マイクロパブリッシングを情熱なくやる人はいないわけで、必然的に面白い本がこの形態から生まれやすいと僕は確信しています。


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2014/01/23

都市の醍醐味は、既存組織や地縁とは別のコミュニティができやすいこと。


従来の組織や、地縁とは別のコミュニティが形成できるポテンシャルが高いのが都市の醍醐味だと思います。

新しいことをやろうと決めている人にとっては、供給過多の大都市よりも地方のほうが隙間や受け入れてくれる土壌が揃っています。本当に地方が面白い時代です。

でも、先に書いたように多種多様の人に出会いやすい、同じ価値観・趣味の人と集まりやすいという機能では都市は非常に優れています。

===
先日、自由大学脱藩学卒業生コミュニティの新年会が渋谷で行われました。2012年夏に始めた脱藩学ですが、来月から5期が始まろうとしています。

僕にとっては、仕事という位置づけではなく、あくまで面白がってやっているものなので、じっくり、ゆっくり、そして卒業後も一緒に仕掛ける仲間として付き合っています。

脱藩学自体が、既存の組織にも、地縁にも関係せず、何か新しいことを模索して集まってくる人たちのコミュニティです。会社以外でも、自分を活かして何かできないか? 自分の人生をもっと面白がるためのヒントを求めてやってくる人たち。

そして、個人が持っているスキルは本当にバラバラ。ネットでの商売が得意な人、商業施設運営が得意な人、アウトドアイベントが得意な人、コーヒーのスペシャリスト、音楽が得意な人、ワークショップを行うのが得意な人、書籍のプロデューサー・・・と多種多様なタレントが集まってきます。


同じ価値観をもっている人たちと知り合え、そして何かあったらリアルに集まれる効能は、今後もますます重要になっていくでしょう。そして何かあったときに、必要なタレントをもった人に相談できる効能も。

自分の所属するもう一つの場所と、そこで生まれる新しい化学反応。こういったプラットフォームを都市に住んでいる人は、使わなくちゃもったいない!生活コストが高いのは、この機能代も含まれてますよ!!

そんなことを思った新年会でした。

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2014/01/16

最適化せずに、柔軟に変化し続けるのも悪くないよね。


都市における流行の波は、他のトレンドと比較すると、長い時間を掛けて徐々に変化していく。けれども、影響は非常に大きく、時に残酷、場合によっては機会にもなる。

みんなが消費に夢中だった頃に人気があった街が、いつの間にか色褪せてしまい、見向きもされなかった街がクリエイティブな人の集まるエッジィなスポットになっていたり。。。

自動車産業の街として栄えたデトロイトも産業の衰退とともに、自動車移動に最適化した都市の作りが逆効果になってしまった。

都市としての機能を果たせなく時期には、安くなった土地を目がけてお金はないけど何か新しいことをやろうと思うヒップな人たちがやってくる。そしてまた、何かに最適化し、都市の経済価値が上がり・・・また衰退するときがやってくる。このサイクルの繰り返し。

もちろん、都市にだけ当てはまる話じゃない。企業にも・・・人気のサービスだって・・・。(最適化されて価値が最大になったときに、多くの人は飛びついてしまう)

だからこそ、長く続くブランドほど驚くほど革新的なことにチャレンジしています。輝き続けるためには、何かに最適化するのではなく、変化し続けなくちゃいけない。

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僕自身、正直移り気というか・・・同じことだけを続けることが苦手。あんなに夢中で始めたことも数年すると次のことを始めてしまったり・・・。

でも、「何かに最適化するのではなく、変化し続ける」プログラムが適者生存のために埋め込まれていると考えると、数年ごとに新しいことをやってしまうのは正しいあり方なのかもしれない。

自分としての軸やミッションとしての一貫性はあるものの、手法や戦術はその時々で柔軟に変わっていくのは、別に悪いことじゃない。

Independentを依存しない人と捉えれば、何かに最適化せずに柔軟に流れる人こそ、Independentなのかもしれないし、ね。


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2014/01/07

マルチタスク・公私混同の時代だからこそ、「しなやかさ」を鍛える

年末年始は、フルタイムで育児と向き合いハードさを思い知りました。そんな中で迎えた2014年の抱負は、もっとしなやかに、です。


多くの人がそうだと思うのですが、社会生活の中で、我々はいろいろな役を担っています。仕事をするときの役、家族の中での役、コミュニティの中での役・・・。シングルタスクではなく、マルチタスクが当たり前です。

他の役の中で得た知識や経験が他の役の中で役に立つ公私混同の時代。だからこそ、どれもおざなりにしたくはない・・・。これは、別に僕だけではなく多くの人に当てはまる欲求だと思います。

このマルチタスクの時代を愉しむためのコツが、状況によって自分の役割や頭をしなやかに切り替えられることだと思っています。

仕事をしているときに育児のことが入ってきてもモードを切り替えられる。やりたいことや思いついたことがあったら、スケジュールをしなやかに調整して、思いついたら動ける軽さを持つ。自分意志で、今の環境を愉しむ術が、このしなやかな切り替えだと思うから。

結局、自分が目指していることが、誰かに自分の人生を切り売りするのではなく、自分の“今”をちゃんと愉しむこと。2014年は、そのために必要な、しなやかに切り替える技術をさらに学ぶ一年になりそうです。


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