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2013/02/28

超小型出版/Flipboard元UXデザイナー、クレイグ・モドさんの本への愛情


先週2月20日に、下北沢のB&Bで行われたクレイグ・モドさんと詩人の菅原敏さんによる「出版・新聞・テレビさえも今の姿はあとわずか? O’Reilly Media刊『マニフェスト 本の未来』刊行記念」トークショーに行ってきました。



クレイグ・モドさんと言えば、FlipboardのUXデザインを担当し、最近だと『「超小型」出版−シンプルなツールとシステムを電子出版に−』という文章を発表して話題の人です。




紙にすべき本があるし、紙である必要のない本もある

紙の本から、電子書籍への移行の話かと思っていたら、それ以上に深い話でした。クレイグさんが丁寧にデザインされた日本の書籍をどれほど愛しているのかが伝わってきました。

Flipboard時代に14ヶ月かけてiPhoneアプリをローンチした後に、アプリのコードや仕様書、検討したデザインのプロセスまでを300ページ・5Kgとなる本を自分で作ったそうです。

ローンチパーティで、本をみんなで眺めながら、自分たちが何を成し遂げたのか、この期間に行ったアウトプットを実感できたという話が印象的でした。

人間は、フィジカルなものがないと、実感ができないのかもしれません。少部数であっても「書籍にすべきアウトプット」はありますよね。


ちなみに、この時に使用したサービスはBlurbというプリントオンデマンドサービスだそうです。

一方で、海外のペーパーバックに関しては、紙質は悪いし、デザインもたいしてされていない。そもそも、紙の本は無くなってもいいという話をするときに、日本とアメリカでは指している対象が異なるという話も印象的でした。


だからこそ、電子書籍ではなく「超小型」出版

紙である必要性のあるコンテンツではなく、「超小型」出版という要件を論文でも提示しています。いままでのコンテンツを電子出版にするのではなく、以下のような要件を満たすものを提言しています。



  • 小さな発行サイズ (3〜7記事/号)
  • 小さなファイルサイズ
  • 電子書籍を意識した購読料
  • 流動的な発行スケジュール
  • スクロール(ページ割やページめくりといったページネーションは不要)
  • 明快なナビゲーション
  • HTML(系)ベース
  • ウェブに開かれている

「超小型」出版の成功事例として、the magazineを紹介していました。アップルのNewsstandで配信している月2回発行のウェブマガジンです。

・毎号4〜5記事
・容量も軽く、すぐにダウンロードできる
・購読料は$1.99/月
・アプリ内で完結して読める
・ウェブでは全記事を読むことができる




最後に、イノベーションはスタートアップから起こることを強調していました。

Tokyo Otaku modeは、既存の媒体のようにコンテンツの入れ物を作るところから始めずに、facebookで記事を更新していくことから始め、ファンも集まったのちにやっと自分たちのメディアを持ち始めました。

そういえば、私の周りでもtumblrをベースにしたウェブメディアを始めている人が増えてきました。

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話を聞いているうちに、出版やメディアを作る可能性がより開かれた時代に自分が立ち会えているということに、再びワクワクしてきました。

そもそも何を解決するための情報なのか?UXを含めたデザインは読者のためにどんな形であるべきなのか?

「既存のものから離れて、もう一度、ゼロベースでちゃんと考えたほうがいいよ」というメッセージをもらったように感じました。

やっぱり、面白い時代なんじゃないかなぁ。やりたいコンテンツありきで、コンテナ(容れ物)は後から考える発想で、もうちょっと企みを増やすことにします!


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