従来、企業という組織では「属人化」することは悪とされてきました。私もよく「属人化するな!」「お前じゃなくても、できるようにマニュアル化しろ!仕組み化しろ!」と言われてきました。
もちろん組織として「仕組み化」することの重要性はわかっていましたが、僕個人としては面倒な印象や誰でもできるようにすることへの寂しさみたいなものを感じていました。
自分がいなくなっても、仕事が流れるようにする。誰でもできるように仕組み化することで、処理できる量を増やしたり、必要な人材要件レベルを下げられる…など、組織としてのメリットもよく理解できていました。
でも、なんか「仕事することの喜び」を奪われている感じがしてしまい…。一方で、次の新しいことに取り組むために、今自分が抱えている仕事を他人に渡すて手放すために、仕組み化する作業を我慢してやっていました。
しかし、考えてみたら、意外と「あえて属人化」を掲げるって、企業内の閉塞感を取り払ういい手法なのではないかいう気がしてきました。
理由は以下3点です。
1:ビジネスモデルが短寿命化してしまっている
もはやシステム化・マニュアル化しても長く使えない。マニュアル化して規模を拡大することが必ずしも正解ではなくなってきている
2:属人化した個人が、炭鉱のカナリアとして機能する
利用者やクライアントの変化を属人的に感じ、アラートを上げたり、次の商売のヒントを見つけることができる
3:「あなたにお願いしたい」という「代替不可能な個」として頼まれることで喜びが生まれる
「誰でもいいことをやっているのではないか?」「仕事の喜びが見出せない」というのは、企業が個人を一人の人間ではなく、「人月」という工数として見ているからだと思います。一方で、属人的な仕事をしている食堂のおばちゃんとかが、一番キラキラをしていたりしますよね。
4:顔が見える企業・ブランドになっていける
得意なこともあるけど、苦手なところもある。それでいて、憎めない。そんな「属人的」な部分がはっきりしているほど、注目や期待を集めることができます。逆に、機能的でマニュアルがしっかりしているような非の打ち所のない企業は「顔が見えない」と言われます。
と、考えていくと、もう「属人化」を標榜してもいいんじゃないでしょうか?
うちの会社には「○○好きの□□がいます」とか、「△△に関しては第一人者の××がいます」とか、そんなことがIR資料とか来期戦略で語られる会社って意外と素敵だと思うのですよ。もちろん、人材を引き抜かれたりするリスクはあると思いますが、今活かせてない「有休人材」を再活性したり、個人の顔が見える会社って、古くて新しいテーマであり、多くの課題を解決できる切り口だと思うのですが。。。。
なにより、「属人的でいい会社」って、それぞれが「個」が立っていてガチャガチャしていて、人を惹きつけますよね。
※雑誌や書籍の編集者・編集長、メディアのプロデューサー、アーティスト、タレント、デザイナー、クリエーター、コピーライター、クリエイティブディレクター、エンジニア、美容師…とかって、昔からこの属人化した世界で生きていますよね。もちろん、楽じゃないけど、属人的だからこそ真剣勝負で自己責任で頑張ってるわけですよね
RSSリーダーで購読する
にほんブログ村