先日、お茶しながら話していたことで、自分の中でもうちょっと深掘っておいたほうがいいと感じたことがあるので、ここに書きながら整理してみます。
飲み屋にある「ボトルキープ」という仕組みです。すごく良くできた販促施策であり、日本が世界に誇っても良い素晴らしい仕組みだと思いませんか?(他の国で聞いたことないのですが、あるのでしょうか?)
ざっくり仕組みをおさらいすると、「最初にボトル一本分の価格で注文してしまえば、一杯ごとに注文するよりも安い価格で飲める」という仕組みです。お店によって、細かい決まりはありその辺は置いておきますが、必ず「3ヶ月以内」や「半年以内」という期限が決まっているのがキモです。
ユーザー視点では、一杯毎に頼むのに比べてお得な割引施策となります。また、ボトルを入れることで「常連として扱ってもらえる」という優遇施策。
一方で、お店にとっても、常連客を作る仕組みとなりますし、初期にボトル代をもらえるのでキャッシュフローを改善するメリットがあります。(デメリットとしては狭いお店だと場所が取られるってことぐらい?)
そして、一番良くできているなぁと感じるのが、「心を大きくする効果があること」です。
たとえば、あなたが常連のお店に入れているボトルがもうすぐキープ期間が終わってしまうとします。でも、自分は仕事が忙しくて行けそうにない。そういうときに、知り合いや飲みに行こうとしている人に「あの店になら、オレのボトルがあるから飲んで良いよ」というコミュニケーションが起こります。
自分が一緒に飲みに行く場合でも、「オレのボトルが入っているから」と知人を誘って、ご馳走することがおきます。ちょっとした優越感であり、気持ちを大きくする効果がはたらいています。
つまり、お客さん自身が自分の意志で知人にお店を進めてくれて、かつ割引クーポンも発行してくれるようなものです。
他にも「ボトルが掲示板」となり、コミュニケーションツールになっていることもあります。
知人が勝手に飲みにきて、マジックで一言書いていく。ボトルを見て、誰がお店に来ているのかがわかる。ボトルを入れている常連であっても、なかなか来ないと奥の方に追いやられてしまう・・・などなど。人間が知覚しやすくて、自然とコミュニケーションに繋がるツールとなっています。
この2つは、完全にソーシャルメディア的な働きをしているとも言えます。
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なんでこんな当たり前の「ボトルキープの仕組み」を書いているかというと、web施策やO2Oサービスなどを考えている人こそ、もう一度ベーシックなアナログ時代のうまくできている仕組みをちゃんと理解しておいたほうがいいと思っているからです。
以前もそんなこと(最新技術よりも、現実社会で起きている「人間くさい」コンセプトが大事)書いていますね。
こういったうまく昔から続いている仕掛けには、絶妙な緩さと、人間の感覚に逆らわない肌感があります。ここから、すごくたくさんのヒントが得られると思っています。現実の社会の人間くさい仕組みをよく知っている人は、新しいものを産み出すのにすごく有利ですよ!
せっかくの飲み会が多くなる忘年会シーズン。
こういった視点で飲食店の仕組みから仕事へのヒントを得られるいいチャンスです!大義名分を掲げて、堂々と飲み会を楽しみましょうねw
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