以前、「移動は投資」というエントリーを書きました。
“移動によって、客観的に見ようとすればするほど主観が磨かれる”がまさにそうです。客観的に異なるものを見ていくと、自然に自分の中に「ものさし」ができていきます。これがものすごい武器になります。今の時代を生きている我々にとって、この「移動は投資」をもって手に入れられる視点は大きな武器となります。
複数の視点という「ものさし」を持っているからこそ、見えてくる「発見」「抜け道」「切り口」があるのです。
そしてもう一つ大事なことは、「仕事を研究」と思えるかどうか。自分のやっている仕事は、自分が研究してノウハウを蓄積したり、成果を出していくものだと捉えられるかでしょう。研究開発費として、自分が時間や労力やお金というコストを払うのを、喜べるかどうかです。
会社員であろうと、フリーランスや経営者であっても、これは同じです。自分が仕事でやって積み重ねていっているものが、自分の研究成果としてプロフィールになっていきます。
よく言われることですが、以前は企業名や肩書など所属している“企業格と階級”で判断される時代でした。
しかし、今では過去やってきたことが調べればすぐにわかる時代です。
自分は何を成し遂げてきたのか? 何の専門分野で、どんな経験を積んできているのか? どんなテーマをもって取り組んできているのか?どんな転機や人との出会いが今につながっているのか?ということが価値を持ちます。
Narrative(ナラティブ)という言葉が、急上昇してきている背景には、大学教授や研究者でなくても、個々人が「仕事を研究」にすることが求められるということがあるのでしょう。
さらに、もう一つ背景にあると思っています。これは「NarrativeとStoryの違い」を説明したほうがわかりやすいでしょう。
「NARRATIVE」という単語を辞書で調べると、「物語」という意味が出てきます。「物語」という言葉から連想されるのは「STORY」であり、「NARRATIVE」ではありません。「NARRATIVE」と「STORY」は少し意味が違います。「STORY」は始点と終点が決まっていて、話の向かう方向性も決まっています。それに対して「NARRATIVE」は始点と終点がなく、方向性もないまま「語っていく」、そのような状況です。「NARRATIVE」な語らいが良いのは、そこにある偶然性・意外性です。その語りの中には、今まで気がつかなかったことが多く含まれています。その糸口から「なぜ?」を繰り返し、その思考や行動の背景を探っていく。普段は意識していない、自分の中で物語として成立していないものが、語らいの中で結びついていく。相手が大事にしていることやその意味、理由が見えてくる。via:http://www.nakedclue.jp/当社を支える考え方/narrative/
計画的にプロフィールを見せたり、一直線に積み上がってきたものよりも、自分のテーマを追求しているなかで、偶発性や意外性のある出来事があり、振り返ってみると、今の自分の場所ができているという話にこそ重要な部分があるのです。
多くの研究者が失敗やミスによって、偶然大きな発見と出会えるように、我々のプロフィールもNarrative性によって紆余曲折あって積み上がってきたもののほうがセクシーで人を惹きつけます。
自分を研究者と定義したら、仕事を積み重ねる中で起きてしまう失敗やミスもチャンスと思えるようになるし、ちょっと違った分野でも探求してみたいと思えるコトや人と出会うのは自然なこと。
振り返ってみると、想像していたいよりも遠くに、自分を連れて行ってくれるかもしれませんよ。
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