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2012/04/25

「爆速」が受け入れられるまでの企業文化の変化


ヤフーが「爆速」化を戦略とし、リーンスタートアップが受け入れられはじめました。ここに至るまでの企業の戦略アプローチの流れを俯瞰的に振り返ってみます。


■「あるべき論」の時代

「創業者の意志を守り、この事業領域を死守して、同じやり方で、雇用を守りながら成長していくべきだ! その上で、顧客を増やす必要があるので需要喚起をなんとしてでも生み出さなくてはならない!」



企業戦略を変化させずに、とにかく「我が社としてのあるべき姿」を追求する。継続してきたものを大切にし、自社の顧客、従業員、お付き合いのある方々との関係を維持する。

「あるべき論」とは、「現状スキーム維持」でもうまくいく理想論と言い換えてもいいかもしれません。結果的に、企業がそのままでうまくいくように、気合いと根性でなんとかするというのが「あるべき姿」だという時代です。


■「打開策」渇望の時代

機能しない「あるべき論」は、「現実」に負け続けました。理想だけ語っていても仕方ないので、方策を考えなくちゃいけないということに多くの人が気づきはじめした。


急速に「あるべき論」への興味が下がり、「現実を受け入れた上で、折衷案を考える」「前提条件を考慮しながら、打開策を導き出す」というところに思考がシフトしてきました。


少なくとも、ここ10年ぐらいは、どの会社でも「打開策」を考えるということに時間を使ってきたと思います。


そして、どの関係者も納得できる名案がでれば、現状打破できるのですが、なかなかこれが難しく。。。痛みを伴うことを避けたところは、なかなか実行にうつせない。もしくは、調整しすぎたがために、あまりインパクトのない打開策になってしまったのだと思います。


■自分ができることを、さっさとやる時代へ

そんな中、もう調整につぐ調整で時間だけが過ぎ、インパクトのない打開策になるのであれば、「さっさとやっちゃえ!」という流れがやってきました。「つべこべ言わずに、手を動かせ!」「とにかくやってみて、反応を見てみよう!」という流れです。


職人気質的なものを重視する文化が、手を動かす、とにかく動くということを賞賛する下地になっているかもしれませんが、それよりも今までの何も変わらない時間が長かった分だけ、賞賛が大きくなっているようにも感じます。そして、折衷案時代に元気のなかった体育会系の人も、嬉しそうですw


環境的にも、成功するかどうかが不確実な時代になり、モノを作るコストよりも、高い人件費で長時間議論を行っていることの非効率性に多くの人が薄々気がついて来ていたのだと思います。


「とにかくやってみてそれから考えよう」「資料作っているよりも、モックアップ作って、手を動かしながら考えよう」という風潮が受け入れられてきているのでしょう。


■追加の考察

こうやって順を追ってみてくると、時代によって戦略・戦術立案のアプローチが変わってきていることが見てとれます。そのため、世代によって慣れ親しんだ思考や手法に差が生まれてきています。


上の世代が、「あるべき論」から入るの対し、ミドル世代は「折衷案・打開策」を考え、下の世代は「さっさと作ってはじめてみましょう」というスタンスの違いが生まれ、意見がぶつかることが起きています。


こういう俯瞰的な思考の変化などを認識していたら、もうちょっと会社内で、この三つの世代が協力して、役割分担しながら仕事進められるのかもなぁ。そんなことを「爆速」化を見ていて思いました。








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2012/04/17

新しい社会ムーブメントを担う人たちを、「C世代」ではなく「DIYピープル」と表現したほうがいいと僕が思う理由


■「C世代」では、ムーブメントが見えづらい



日本経済新聞では「C世代」とラベリングして、年初から連載を行っています。しかし、どうもネーミングが与えるイメージがもったいなくて、モヤモヤしてしまいます。
コンピューター(Computer)を傍らに育ち、ネットで知人とつながり(Connected)、コミュニティー(Community)を重視する。変化(Change)をいとわず、自分流を編み出す(Create)。ジェネレーションC、未来へ駈ける。
ポスト団塊ジュニア世代の特徴として、その通りなんだけど、世代論としてしまうにはもったいないムーブメントだと考えています。

世代を超えて自分たちで身近な社会問題に楽しんで取り組んでいる人たちを見えづらくしてしまっているからです。

この種族に名前をつけて、このムーブメントによって起こるポジティブな側面を、多くの人に気づいてもらえる形にしたほうがいいと思っています。これこそ、次の社会の仕組みを作って行く動きだからです。


だからこそ、別のネーミングが必要だと思っています。

■「DIYピープル」が社会を明るく改善する


僕的には「DIY」という表現こそが、このトライブ(族)の生態を表していると思います。なので、「DIYピープル」というネーミングにしてみました。

・自分たちで、自分の周りの課題を解決しようと動く人たち
・自分ごとである身近な課題を、喜んで解決する人たち
・どんなに社会に課題が溢れていても、未来は明るくなると信じている人々
以前の「DIY」が自分の生活に必要なものを、自分で作るという意味合いの色が付いてしまっていたのに対して、ここでいう「DIY」にはもうちょっと「自分ごと」と思える範囲の「公共性」が入ってきています

そのため、眉間にしわを寄せた社会活動とは捉えず、素直に自分として「あったほうが楽しいから」「自分ができることだから」という気持ちで動いているのが、大きな特徴です。

それとC世代というネーミングは、パソコンと向き合ってばかりで内向的なイメージを持たれるものの、DIYピープルと表現したほうが、アクティブでたくましい語感も含まれていて、実際に近いと思います。(正直、会社組織に依存していた層と比較すると、内面はずっと彼らのほうがたくましいですよ。)


■「自分ごと」範囲の拡張と「消費<創造」



この背景にあることが大きく二つあります。どちらも時代適応した価値観です。

一つは、「自分ごと」と思える範囲が拡張していることです。


「各々が自分や家族を守るように権利主張する」という考え方から、「自分の知り合いや、自分が住んでいるエリアの人たちも幸せになるように知恵や手を貸す」という考え方にシフトしています。

前者が企業経営者と労働組合というゼロサムゲームの対立軸だったとしたら、後者が「まあ今は大変なので、できることは一緒にやって、なんとかこの苦境を乗り切りましょう!」というポジティブサムゲームのような状況です。

まあ、それだけ奪い合っている環境ではないからこそ、産まれてきた価値観なんだと思います。



二つ目としては、消費よりも創造が楽しくなっているから。


背伸びしてお金を消費する行為が「イケてない」ように感じ、身の丈の暮らし方、生活の質をその人らしく丁寧に上げているほうが「イケてる」ように思えてくると、どんどん消費ゲームが色褪せていきます。



もちろん、消費活動は必要なのですが、消費が色褪せたことによって「消費>創造」だった価値観から、「創造>消費」と逆転したのです。


昔なら、お母さんに作ってもらった服よりも既製品じゃなくちゃかっこわるかったのが、逆転したのです。手作りのモノのほうがカッコイイのです。既製品よりも自分で手を加えたもののほうが愛着がわくのです。

実際、消費では満たされない、より高次な欲求を、何かを創造することで私たちは感じることができます。尊厳欲求(自己承認欲求)や自己実現欲求を満たすことができます。



この二つのが背景が「DIYピープル」を突き動かしているのだと思います。



こうなってくると、
「自分たちの課題解決を、自治体や国・企業にお金払ってわざわざやってもらっていましたが、楽しさに気がついてしまいました。なので、自分たちでやります!」
という流れが起きますよね。いや、起きてますよね。すでに。


備考:この動きの代表的事例であるクリエイティブ都市ポートランドのことについての以下の本、刺激的でした。成熟した都市環境で起きている世界的な流れですよね。


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2012/04/09

これからの「クリエイティブ都市」に住むことの重要性

■住む場所の重要性はむしろ増している



どこでも仕事できて、どこにでも移動することの時代。しかし、住む場所の重要性はむしろ増してきているように感じられます。




リチャード・フロリダの「クリエイティブ都市論」にも住む場所の重要性について要約すると以下のような主張があります。


トーマス・フリードマンが「世界はフラットになった。どこに住んでいようと、グローバル経済に参加できる」と主張するのに対して「世界はフラットではない。世界は鋭い凹凸があって『スパイキー』だ」

グローバル経済の波とテクノロジーの発展をもってしても、なお「住む場所」が人生、つまりは職業・職業的成功、仕事の人脈、快適な暮らし、伴侶を見つけることに影響を与えている


たしかにその通りで、人生の中で「自分の住みたい場所」に気がつくことはものすごく価値が高いことだと思っています。


僕自身が、三宿というエリアに住もうと思ったのも、都心に近いのに緑が多く、クリエイティブな人(昼にスーツじゃなくブラブラしている人)が集まる地域だというのが大きかったです。面白い人が集まる美味しいお店が多く、IIDのような地域に開かれているクリエイティブな場所があることも重要なポイントです。渋谷や代官山、恵比寿に近いので、人と会いに行きやすく、人的ネットワーキングが構築するのに便利だということもありました。


以前、「どの時代にも才能が集まる場所がある。重要なのは無名でも刺激しあえる仲間を見つけること」というエントリーを書きました。この観点で東京はまだ魅力的な場所だと思っています。(僕の感覚では「東京」という括りは、当事者感を持つには広すぎるのですが…)




■「地方自治」も個人が「当事者」として関わる時代

さて、ここまで「住む場所」の重要性について書いてきましたが、もう一つ「自分が好きな場所に住む意義」があると思います。


それは、自分が住んでいるエリアに対しての「当事者」になれるということ。従来、そのエリアに住んでいる人は行政サービスに対しての受益者という側面しかもっていませんでした。しかし、自分が好きな場所であれば、行政サービスや地方自治の主体者として自分の能力を提供したいと自然と思ってきます。TechWaveの『「これからの地方自治は明るい」と断言できる根拠』というエントリーも同じ流れを紹介しています。


自分が好きな場所をより素晴らしい場所にするために、手を差し伸べるのは「自分ごと」だからでしょう。地域に根ざした企業や、地域でビジネスを行っている商店も、「自分ごと」として活動を行うでしょう。


だからこそ、住む場所(都市)の力はフラットではなく、スパンキーになるのだと思います。「自分ごと」と思える人や企業が多く集まるエリアは、どんどん魅力的な場所になっていきブランドを確立していきます。一方で、そう思えない地域は、地方自治は国に依存しながらやっていくことが続くでしょう。


追記:ポートランドでの事例がイメージわきやすいかもしれません。すでに講義は終わっているみたいですが、以下引用です。


アメリカで29番目の人口都市であるにも関わらず、NIKEやワイデン+ケネディを始めとした世界に誇れる企業やカルチャーが生まれ続けているインディペンデントなクリエイティブ都市ポートランド。美味しいコーヒーショップがなければ自分たちでローストして創ればいい、カッコイイ自転車がなければ自分たちでセルフビルドして創ればいい、といつもクリエイティブなDIY精神で、大都市経済に流されず自立した存在感が凛々しい都市ポートランドに、クリエイティブクラスのヒントを学びます。


今後、スコットランド、シドニー、香港編もあるみたいだから参加してみようかなぁ。クリエイティブ都市に複数拠点を持つのが、自分への最高の投資なんだろうなぁ。



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2012/04/02

冗談かと思った・・・「会社にしがみつくための雑誌」w



先日、書店で見つけて戦慄を覚えた雑誌「DEFENCE」です。もうすでにエイプリルフールも過ぎていますが、念のために書いておきますが、実在する雑誌です。


書店の経済誌の棚にあったのですが、周囲の雑誌が「厳しい環境下でも、うまく戦っている企業を特集している」中、異彩を放っていました。


厳しい環境で、個人で何とかしていこうという考えの対称として、「会社にしがみついてなんとか持ちこたえよう」というコンセプトの雑誌です。同じ環境認識の中で、どう対処するかのアプローチの違いでしょう。(でも、こういうネガティブな雑誌ってレジに持って行きづらくて結構売れないような気がするのですが。。。)


特に気になった特集は・・・


今こそポジティブに「会社にしがみつけ!」リストラ知らずの会社で生き残る技術

知らなきゃ捕まる法律問題Q&A

取引先から社食のおばちゃんにまで対応怒られないテクニック

コレだけ覚えりゃ上司&部下にナメられない!無知・無能を“隠す”会話術


びっくりな内容ですが、背景にあるのは厳しい環境認識と、会社にいても自分の身を守らないといつリストラされるかわからないという危機意識です。


以前、「生き方のスタンス」が違うと友達になれない?自己責任派と他人依存派の埋められない溝というエントリーを書きましたが、まさに「他人依存派」ターゲットの雑誌ですね。


どうせサバイバルしなくちゃいけないのだから、どの方向にパワーを使うかが重要だよなぁ。


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