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2008/08/02

ウェブブック『生きるための水が湧くような思考』(梅田望夫著)

梅田望夫さんの最新刊は、ウェブブックとしてリリースされました。
もうすでに、読んだ記事などもありますが
こうやって本としてまとめて再読してみると
いろいろなことを気づかされます。
個人的には、今の自分の感じている閉塞感と自分が行きたい方向を言語化してくれる作品です。


長い引用になってしまいますが、ウェブ時代5つの定理の2番目の定理である「チーム力」の部分です。ここが今の自分の気持ちにぴったりとはまりました。

「その道のプロ」の相乗効果

 創造性を生むための第2定理は「チーム力」である。どんな優れた人も1人では何もできない。自分にできないことができる人たち、自分にない能力を持った人たちと、どうチームを組んでいかに仕事をするか。ここに社会として組織として創造性を生むカギがある。
 ベンチャービジネスの成功というと、日本では、突出した力を持つカリスマ経営者によるワンマン支配といったイメージが強い。確かに、アップルのスティーブ・ジョブズ、マイクロソフトのビル・ゲイツなどを筆頭に、コンピューター業界をリードしてきたベンチャー創業者にはカリスマ的存在感を持つ人物が少なくない。個性的な創業者が会社の「顔」となり、大きな成功を収めた暁に、神格化されて語られる側面も事実ある。
 しかし、突出した一握りの天才だけがユニークな創造性を発揮して、革新的な技術や製品、新しいビジネスモデルをつくり出したわけではない。そこにあるのはワンマン主義ではなく、むしろ透徹したチーム力である。
 「強い力を持った個」同士がスポーツ感覚で戦略的にチームを組んで疾走するイメージ。異分野の「その道のプロ」が組むことで相乗効果をたたき出す世界だ。
≪Aクラスの人はAクラスの人と一緒に仕事をしたがる。Bクラスの人はCクラスの人を採用したがる≫
 この言葉をシリコンバレーでは格言としてよく耳にする。Aクラスの人は、自分を向上させたいと常に思っているから、自分より優れた人と一緒に働きたいと考えるが、Bクラスの人は実力に不安があるから自分よりも劣った人を採用してしまう、という意味である。チーム編成においてはAクラスの連鎖を作るべし。イノベーションを生むには、選りすぐりのチームを組成するところから始めなければならないという経験則が、この言葉の背後にある。
 日本のビジネス社会では、「チームワーク」という概念に「優秀な個」という前提が自動的には含まれていない。「メンバーの痛みを理解できる」「困っている他のメンバーを助ける」といった相互扶助の概念と紙一重になりがちだ。「守りの仕事」ならばそれでいいが、そのチーム発想からは「攻めの仕事」における爆発的な創造性は生まれにくい。 
 ≪世界を変えるものも、常に小さく始まる。理想のプロジェクトチームは、会議もせず、ランチを取るだけで進んでいく。チームの人数は、ランチテーブルを囲めるだけに限るべきだ≫
 これは、サン・マイクロシステムズ共同創業者のビル・ジョイの言葉である。マイクロソフトもアップルもグーグルも、すべては数人のチームによる熱狂的な没頭から始まった。「世界を変える」イノベーションを生む一番大切なことは、資金でも設備でもなく、情熱を持ったわずか数人の力を結集して爆発させる「チーム力」にある。
 高いモチベーションを持続する少数精鋭からチームが成り立ち、目標を共有し、会社や作品の成長を目指し、チーム全員が同じ目標に向かって走る。その幸福感、高揚感から、創造性やイノベーションが生まれるのだ。
 「いい成績を取って、いい大学に行って、いい会社に入りなさい」という古い価値観のゴールにある「日本のいい会社」に入ることで、それができるのだろうか。「いいチーム」感覚で楽しく仕事をしていくことができるのだろうか。現代の日本の優秀な若者たちは、そんな懐疑の心を持っている。だから未来に閉塞(へいそく)感を感じるのだ。
 自分の志向性にぴったりとあった領域を発見し、そこで徹底的に自助努力をしてその道のプロになる。そしてAクラスのプロ同士がお互いに尊敬し信頼し認め合い、ケミストリー(相性)の合うメンバーで一体感をもち、チームでスポーツをするように一緒に仕事をする。そんな楽しい「仕事の世界」が日本にももっと増えてくるといい。
 こうした「チーム力」の文化を積極的に社会全体に育(はぐく)んでいくとき、一人一人の個に、今を生きるエネルギーがわいてくるのではなかろうか。



僕の場合は、新卒で入社した会社がある意味Aクラスの人材がたくさんいるすばらしい環境でした。ある部分は優れているけど、ほかの部分は全然ダメとか癖が強い人たち。でも自分の好きなことをキラキラやっている人が多かった。その環境の中で、自分がひとかどの個性を持つことに一生懸命でした。
その後も、プロジェクトをいくつかやっていく中で、いろいろなAクラスの人たちと仕事をしているのは、この上なく楽しい体験でした。

ただ、10年会社にいる間に、中途の採用基準が変わってきてしまったのか? 会社の文化が変わってしまったの? 自分の見る目が厳しくなってしまったのか? いつしかBクラス、Cクラスが増えてしまっているように感じてきています。そのことによってコミュニケーションに負荷がかかり、仕事のための仕事が増加してきて、いつしか楽しかった会議が苦痛な会議の場に変わってくる。社会全体から比較したら、そんなに悪い環境じゃないこともわかっていますが、自分の理想と比較して悲観的になってしまうのが現状です。もちろん、10年で卒業するこを意識しながら自分を磨いてきたので、この環境でやり残したことがなくなったことも事実です。


今までだったら、"Hate something,Change something"という大好きな言葉に則り、環境を変えにいくのですが、今の自分としては外にある「個」と連携した上で、理想のチームを作っていきたいと決めています。この文章を再読したことで、自分の気持ちが言語化されたように感じました。


もう一つずっと気になっている言葉は
「何かを捨てなければ、この本を読んだことにならない」
というウェブ時代をゆくに関して梅田さんが話したものです。
常に自分の時間は有限で、あっという間に時間は過ぎていきます。そのことに切迫感をもって、勇気のある決断をし、自分の人生は自分で切り開いていきことを再認識しました。

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