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2010/12/31

生き方が問われる時代〜「ハーブ&ドロシー」というロールモデル

2010年もほぼおしまい。そんな中、今年10月の国際フォーラムでのトークショーの打ち上げを兼ねてピアニスト宮嶋みぎわさん、就職ジャーナリスト常見陽平くん、僕の三人で今年最後の忘年会をしてきました。

打ち上げのはずだったのですが、結局ネタは「新しい生き方のロールモデルになる」という話で盛り上がりました。カウンターカルチャー大好きで生きてきた私個人で言えば、国家や既得権益者への対抗方法は、「自分が幸せに生きることが最大の復讐」だと思っています。もちろん、ポジティブな意味でですよ。新しい働き方をすることが、国に頼らない生き方のロールモデルになるという位置づけで。


さて、今年最後に見た映画は「ハーブ&ドロシー」になりました。そして、今年見た中で一番自分に影響を与えた映画だと思います。


郵便局員のハーブと、図書館司書のドロシー夫妻がNYで長年に渡って収集してきた現代アートの作品が、気がついてみたら歴史的コレクションになっていたというドキュメンタリーです。

仕事での収入が少ないのに、ドロシーの給与で生活し、ハーブの給与でコレクションを買い続ける。アーティストと向き合い、すべての作品や作風の変化をいろいろ聞きながら、最終的にアパートにおけるような小さな作品を交渉して手に入れる。

そのため、いつしかアーティストとも交友関係ができていく。映画の中でも「彼らはただのアートコレクターではなく、フレンドコレクターだ」と言われていた記憶があります。誰からも愛されるNYの特別な存在に彼ら自身がいつしかなっていきます。

最後に、さすがに狭いアパートで暮らせないほどのコレクションになり、ナショナル・ギャラリーに寄贈するのですが、それでもその後もコレクションを続けてしまう。そして、どれだけコレクションを価値を持とうとも、一切売ってお金を稼いだりはしないという姿勢。

この二人は、今のアートシーンの投機的な一面に反旗を翻してくれたと思います。そして、自分が好きなものをずっと続けて、アーティストたちからも好かれて、気がついてみたら有名コレクターになっていたという新しいロールモデルを示してくれました。「お金持ちじゃなくちゃアートコレクターになれない」という固定概念を壊してくれました。かっこいい生き方です。こういう人たちにもっとスポットがあたって、多様な幸せな暮らし方があることが認識されるといいのに。

来年は、もっとこういうカウンターカルチャーな仕掛けをやっていこうとぼんやり考えています。




ハーブ&ドロシーのiPhoneアプリもありました!
http://itunes.apple.com/jp/app/id399613213?mt=8



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