『ヒップな生活革命』佐久間裕美子著を読んで、故川勝正幸さんが90年代に「世界同時渋谷化」と名づけた現象を思い出していた。
90年代に「世界同時渋谷化」が、2010年代は「世界同時ポートランド化もしくは世界同時ブルックリン化」が起きているのかもしれない。
この新しい文化の潮流は、自分たちが消費するものの本質を強く意識することから始まっています。口に入れたり、身に着けたりするものがどこで作られ、どこからやってきたのかを考えよう、社会的責任に重きを置く企業を支持しよう、「より大きい物をよりたくさん」という消費活動と決別しよう、お金さえ払えば誰でも手に入れることのできる高級ブランドのバッグよりも、自分がより強いつながりを感じるものを、たとえば同じコミュニティの一員がデザインし、地元の工場で、自分たちと同じ電車に乗って仕事に通う人が作る商品を使おう、という新しい価値基準の提案です。via.「ヒップな生活革命」まえがきより
以前は音楽とミュージシャンが担っていたスターの位置づけが、現代では食とシェフ/コーヒーとバリスタが担っている。そんな現象と地元でのものづくりのトレンドや、地に足の着いた生活革命、日常を愉しむ生活が書かれている。
人間は環境に適応する生き物だ。生態系の一部だ。時代によって、大きく振り子が振れたのを戻すために、ヒップなものの定義は時代で変わる。新資本主義が行き過ぎたアメリカで、都市型の働き方が行き過ぎた日本で、昔ながらの食や健康に良いもの・コトがヒップに感じるのは、必然なのだと思う。
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ヒップな生活革命
佐久間裕美子
はじめに
第1章 アメリカに新しい変化の波が現れた
「新しいアメリカ」のスペック
時代を変革するヒップスターたち
おいしいコーヒーが代表する文化の「サード・ウェーブ」
ポートランドに芽生えた独立の精神
文化のケミストリーが起こる場所としてのホテル
ひとつの文化圏となったブルックリン
バブリーな世界観と対立する無骨で温かいスタイル
「責任ある食べ方」がニューヨークの食を変えた
消費動向の変化が社会に変革を求める
第2章 食を通して生き方を変える
グルメになったアメリカ人
ブルックリンに花開いた食のアルティザン文化
自分が自分のボスになって生活をコントロールする
地産地消の思想と結びついて生まれた屋上農園
生産者と消費者を直接つなぐ地域支援型流通システム
アリス・ウォータースが広める「食べられる校庭」
第3章 足元を見つめ直してモノと付き合う
「ブラック・フライデー」で過熱する極端な消費主義
売りながら「買うな」とうたった異例のキャンペーン
「ギビング・チューズデー」が大量消費に投げかけた疑問
公益に企業の価格を見出す新しい企業の形
贅沢から実質へのシフトが起こっている
「メイド・イン・USA」の復興
日本人デザイナーが貫いた「メイド・イン・ニューヨーク」
老舗に命を吹き込んだヘリテージ・ブーム
全米一治安の悪い街・デトロイト復興の物語
自分の生き方を表現するブランド
サイクリストと直接つながる自転車専用パンツのブランド
斧からスタートしたブランドが商品に込める物語
違うコミュニティを掛け合わせて成長する帽子ブランド
製造業を底上げする作り手と工場とのお見合いサービス
顔の見える作り手から買える新しいオンラインストア
第4章 自分の場所を作る文化発信のチャンネル
レコードの流行に見る音楽文化の再生の兆し
若い作家がデジタルで直接映像を届ける配信革命
小さなコミュニティを作って復活する雑誌
世の中の動きとは独立して自分たちの場所を作る
政治に参加するチャンネルはひとつではない
日本の伝統的な文化がアメリカに与えた影響
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