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2014/09/04

何を「貫いて」どの部分は柔軟に「変化・対応させる」のか?


世界に和食と寿司を拡めたレストランNOBUのオーナーシェフ、松久信幸さんの本を読みました。(会社員時代の同期・高橋亜起子さんから献本してもらって。彼女は現在NOBUの世界中の店舗に食器やお酒などを販売する事業をやっています)

一人の人間の波乱場上の物語としても楽しめますが、ブランドを作っていくことに興味がある人や、オーナーシェフという自分の分身であるお店を事業化していく中での変化を疑似体験できるという意味で、興味深い本でした。

「貫く」部分と「柔軟に変化させる」部分
ここの基準がしっかりとNOBUさんの中にあり、一店舗のときでも、世界中にレストラン・ホテルを展開するようにしても徹底しているということです。

シェフでここまでのバランスを持っているということが、面白い。いい原材料を使うことにこだわり、和食の良さを伝えるための方法は譲らない。一方で、現地の人に生魚に親しんでもらうために従来の日本料理にはないメニューを開発したり、店舗規模にあわせて柔軟に組織化する部分やレストランからホテルにチャレンジしてみるという変化も受け入れてしまう。

「お客さん=NOBUに求められていること」を理解し、その根幹の部分は大切にし、絶対に守る。一方で、変化が必要なものや、より時代や環境に合わせる必要があるものは柔軟に。

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何を「貫いて」どの部分は「変化・対応」させるのか?

これはどんな組織であっても、個人であっても重要な問いです。個人だからと言って、なんでもかんでも迎合していたら、何も残らないし、つまらない。

限られた自分の時間を、何に使うのか? その「何」の優先順位を決めるためにも、この「貫くものは何なのか?」に対する答えが必要になります。

一方で、歳を重ねるにつれて、こだわらなくてもいいような部分なのに、無駄に頑固になっていないのかも考えなければ。

そんなことを考えさせられた本でした。



お客さんの笑顔が、僕のすべて!
松久信幸(ダイヤモンド社)

まえがき――ただ、お客さんの笑顔がみたいだけ

第一章 「海外」と「寿司」への憧れ
――下積み時代を耐えられたからこそ
「おやじみたいに海外に行きたい」
祖母譲りの負けず嫌い
無免許運転で大事故。高校中退
皿洗い、出前持ちばかりの三年間
巨人・王選手のための盛り合わせ
下積み時代を耐えられたからこそ今がある
「立派なお店」より「いい人のお店」
背伸びすれば背が伸びる
おいしいものを求める旅で、妻となる女性に出会う
親父さんの目を盗んで新しい料理に挑戦
「料理は心、ハートで仕事をする」の原点
「ペルーで寿司屋をやらないか?」

第二章 落ちるところまで落ちれば、焦りは消える
――海外での連戦連敗
「ペルー リマ 松栄鮨」開店
ペルーでアナゴを安く仕入れる裏技
「安い食材を使え」というパートナーと喧嘩別れ
やりたい仕事ができないフラストレーション
帰国し、赤貧暮らし
絶望の淵から「一日一ミリでも前へ!」
再起を誓い、単身ロサンゼルスへ
再び家族をひとつにした妻の勇気
南米で覚えた調理法を寿司に融合
店の転売計画が発覚。再び職を失う不安
背中を押してくれた恩人の申し出

第三章 お客さんの笑い声が満ちた場所に
――はじめての自分の店「マツヒサ」オープン
自分の好きな仕事ができることが、ただただうれしい
睡眠時間は一〜二時間。毎日が戦い
お客さんに、何でもやってあげられる!
「魚のおいしさを知ってほしい」という情熱から新しい料理が生まれる
料理はファッション、常に進化していく
熱いものは熱いうちに、冷たいものは冷たいうちに
寿司屋の「おまかせ」がNOBUスタイルの原点
お客さんの笑い声が最高のバックグラウンドミュージック
「もし自分が相手だったら・・・・・・」がサービスの基本
衝動買いしたマグロのおかげで看板メニューが生まれた
生魚を日本から輸入する
やる気のある職人が雇えれば、人件費なんて安いもの
良い食材が先、利益は後
アメリカで、褒めて育てる大切さを知った
メディアに取り上げられ、セレブが来店

第四章 四年待ってくれたデ・ニーロ
――NOBUの共同経営をスタート
デ・ニーロとの出会い
「三顧の礼」で信頼が生まれる
機が熟したときには不安を感じない
レストラン経営のプロが、キッチンを組織化
下手な英語でも伝えようとする情熱があれば・・・・・・
ストレスを感じながらではいい仕事はできない
日本料理店のイメージを変えた
ニューヨークからロサンゼルスへSOSの電話
ミシュランの星よりもお客さんの笑顔
それでも「原点」のマツヒサを忘れない
映画の世界も知ることができた
一つのことを続けていると、世界が広がる

第五章 NOBUの味とサービスを世界へ
――その土地に合わせることと、変えないこと
デ・ニーロなしのNOBUはありえない
ロンドンでNOBUの二店めをオープン、クリスマスに営業
世界のアルマーニと直談判、禁煙を貫く
NOBUの経験者が直接教えて伝える
新しい「味」を創る
NOBUスタイルの土台には「和食」がある
年間10ヶ月、世界中のNOBUを回る理由
現地のシェフと日本人シェフを組ませる理由
僕の目指す最高を、スタッフにも目指してもらう
「売れているんだからいいじゃないか」では大きな損につながる
新メニューを禁止するのではなく、もっといい料理を考える
本質を忘れるな、料理はシンプルがいちばん

第六章 パートナーシップ崩壊の危機を乗り越えて
――常にクオリティを高めつづける
パリ撤退の苦い経験
機が熟するのを待ってパリで再挑戦
「ノブはかけひきをしない」
「1+1」が「100」になるような関係に
NOBUの経営チームも成長した
大きな理想をもつパートナーと仕事をするのは楽しい
「NOBUができるとその街が変わる」
本当の競争をしていれば、競合とも共存共栄できる
中核メンバーの三人が育たなければ新規店舗は出せない
同じことを言いつづけるのが大事
僕がお客さんとの写真撮影を拒まない理由
「おもてなし」にマニュアルは要らない
叱るときも相手の立場に立って言葉を選ぶ
叱ることより効果的なのは、手本を見せること
ハングリー精神は教えられるものではないけれど
皿洗いの人に必ず「ありがとう」と言う

第七章 新たなステージへの挑戦
――NOBUホテルオープン
レストランからホテルへ
NOBUコンセプトをホテルのサービスに反映させる
緑茶とおせんべいでウェルカム
二四時間、部屋でNOBUの料理が食べられる
あるマネージャの勇気ある決断
若い子たちがぐんぐん伸びているのを実感できる店が居心地いい
新しい挑戦に批判はつきもの
日本人以外の人に「正面」の概念を伝えるオリジナル食器
クルーズのお客さんから届いた感謝の手紙
ライバル意識より学び合い意識が組織を強くする
スタッフの成功が、僕の成功。チャンスをつかんでほしい
チームプレーができるシェフがいることがNOBUの強み
「もしかしたら、僕は成し遂げたのかもしれない」

第八章 情熱と努力があれば、結果は後からついてくる
さらに、次の夢を目指して
マニュアルよりもコミュニケーションを第一に
弟子を自分と同じレベルに育ててこそ職人として一人前
レシピはコピーできても、ハートはコピーできない
残りの人生で僕がすべきこと
命の恩人の苦しみに気づいてやれなかった未熟さ
一生懸命がいちばん楽
こわがりだからがんばれる
グローバル人材になれるかなんて考えてもしょうがない
いっぱい助けられたその恩を、次世代に返したい
結局「情熱」という一言に集約できる
「もし自分が相手だったら」が世界に広がれば・・・・・・

あとがき



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