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2011/08/16

どの時代にも才能が集まる場所がある。重要なのは無名でも刺激しあえる仲間を見つけること

僕の大好きな本にボリス・ヴィアンの「サンジェルマン・デ・プレ入門」があります。大学生の頃に、ようやく日本語訳の素晴らしい本ができて大学生協で予約して手に入れたと記憶してます。アマゾンで調べてみたら、1995年にリブロポートから出て、絶版。その後2005年に文遊社から発売されているようです。


紹介文には、こうあります。

戦後のパリの穴倉で、飲んで、踊って、愛し合う…サルトル、ボーヴォワール、カミュ、メルロ=ポンティ、コクトー、ピカソ、クノー、プレヴェール、ツァラ、ブルトン、アルトー、ジュネ、グレコ、バディム、エリントン、マイルス…そしてヴィアン!総勢500名にも及ぶ有名・無名の登場人物とともに、戦後のパリを彩ったサン=ジェルマン=デ=プレの狂躁の日々が甦る。

そう。すごく不思議なのはある一時期に、ある場所に、その時代を創る人材が集まることが起こる。この事実に惹かれて夢中で読んでいました。分野はバラバラでも、なぜかそういう人物は繋がっている。戦後のパリ、サンジェルマン・デ・プレがまさしくそのタイミングでした。

クリエイティブ都市論などでも、語られてきていることですが、才能が集まる場所が存在します。一方で、もう一つ重要なことがあります。後日われわれは、その時代にその地域に集まって、仲間になっていた人たちの豪華な顔ぶれをみて驚くわけですが、知り合った当時は無名の若者たちだったはずです。

お互いが影響を与え合い切磋琢磨したこともあると思いますが、誰かが知名度を得ると仲間を「こんなおもしろいやつがいて・・・」と紹介することで、相互に押し上げていったのではないでしょうか?


すでに有名になっていたり権力者と仲良くなろうと努力するよりも、一緒に登っていく仲間を見つけることのほうが結果的に大事なはずです。


これって、今まさに、東京でソーシャルメディアという増幅装置を使いながら、進行していることと重なりませんか? 共感する価値観の仲間や、解決しようと思っている課題が同じ仲間を見つける。お互いが影響し合って、紹介し紹介されあってネットワークを形成していく

実際にリアルで会うことの重要性は、ソーシャルメディアが発達しようが色あせていません。信頼して他人に紹介するときには、リアルで会った仲間を紹介します。そして、気になる人や会うべき人には、なぜか同じような関心の高い人たちの集団で繋がっているので、結果的に会うことになります。

と考えると、今、東京にいることの最大の価値は、同士や仲間と会える機会が多く提供されていることでしょう。実際、東京ではこの手のイベントやコミュニティが毎週のように、いや毎日のようにイベントを開催されています。まるで、戦後のパリのカフェで行われていたようなイベントが。

都市の価値は、こういったmeet upが多く行われ、意識が高い野心家や才能が集まってくるかでますます決まってくるでしょう。そして、より魅力的な場所を見つけた才能は、他の都市へ簡単に移っていってしまうということは昔から変わらないのかもしれません。


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2011/08/10

起業時のサービスプランニングで最初に知っておきたい5つのこと

昨夜、某スタートアップ企業のWEBサービスプランを叩くためにMTGを実施したのですが、2時間の予定が4時間弱ぶっ通しで話すことになってしまいました。

「それじゃあ、ユーザーが集まらないし、受け入れられないのでこうしたほうがいいですよ」ということを伝えるために、いろいろな切り口から話したり、成功・失敗パターンの事例を紹介したり…ダメだしだけじゃなく、僕なりの建設的な解決策や提案も話していたら、こんなに時間がかかってしまいました。
伝えることの難しさと、自分の説明力の乏しさと、とはいえ相談されているからには、ちゃんと理解してもらって活かしてもらわないと何の貢献にもならないという責任感で誠心誠意対応したつもりです。さらに、今回ご相談いただいた案件は、借り入れも起こして最初から資金投入してやる案件だったので、慎重にならざるをえませんでした。難しいなぁ。
昨日議論して、感じたことを以下5つに箇条書きしてみました。
自分がサービスや事業の立ち上げをやった経験と、相談されるときによくあるパターンなので、参考になれば…。
1:プランニングで全方位から考える。その上で、さっさとプロトタイプを作って実験する
いつまでも検討ばかりしていてもしょうがないけど、事前に何も考えないのもよくない。とはいえ、大きな投資を必要としないスタートアップは、さっさとプロトタイプ作って、ユーザーの反応を得てしまったほうがいいと思います。間違いなく! 結果的にスピードが上がり、資金繰りも楽になります。


2:目的と手段を逆にしない
自分が設定した手段に捉われて、もともとの起業動機とずれちゃいけない。スタートアップのときには特に、なぜ起業しようと思ったのかという想いを優先したほうがいいと思います。いつのまにか、その想いを実現するための手段として選んだサービスだったのに、練っている間にマネタイズのことを意識しすぎて、当初の目的からはかけ離れたものになっていることがあります。これは要注意です。


3:ユーザーのニーズを無視すると、誰も使わないものに陥る
昨夜の場合は、これでした。。。もともとクライアント対応が得意な方だったので、どうしても顕在化しているクライアント側のニーズだけを聴いてサービスを設計していたようです。むしろ、ユーザー側のことを散々考えてリリースして、その後にマネタイズの方法とか考えたほうがいいですね。
初期投資を覚悟していたからこそ、クライアント側のニーズを重視してしまう気持ちはわかるのですが。。。
「ユーザーが困っていること=集客コストが安くできる」ということを忘れずに!
4:人材のアサインやチームビルディングはできるだけ早い時期に!
スタートアップでうまくいくためには、臨機応変に自分で考えて動ける人材が必要になります。だからこそ、プランニングのタイミングからチームができていたほうがいいです。だって、一緒に考えて作ったプランだからこそ、自分で判断だってできるし、なによりスタートアップに参加する人間だったら自分が考えたプランじゃなくちゃやる気が起こらないぐらいがちょうど良かったりします。

5:「やりたい」「やりたくない」の違和感を口にするのは大事
想いがあって起業しているからこそ、「そっちが儲かるのはわかってるけれどやりたくない」という感情には素直になったほうがいいと思います。昨日のMTGですごくいいなぁと思ったのは、ちゃんとその方がこの感覚を口にしてくれました。結局、サービス開始したら続けていくことになるし、磨いていくことになるので、だからこそこういう「やりたい」「やりたくない」の感覚をちゃんと大事にしたほうがいいと思います。

僕に相談が来るサービスなので、BtoCサービス立ち上げの5つの注意と、考えてください。
こうやって書き出してみると、自分でもいかにユーザーのことを重視しているかを再認識できました。



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2011/08/05

世界同時、草食消費トレンド「ニューノーマル族」の先頭を走っているのは東京だ!

最近、もう一度消費傾向の変化について、各種書籍などを読んで視点をインプット中です。日本で起きている消費傾向で、分類したときのカテゴリ分けがそのまま世界で当てはまる気がするからです。

そのため、海外の消費傾向の変化についた本を、時間を見つけてちょこちょこ読んでいます。
その中で、東京で起きていることとリンクしていると感じたのが「グレート・リセット」です。




著者のリチャード・フロリダは「クリエイティブ・クラスの世紀」を書いた人で、社会学的に新しい生き方をしている層を見つけて、その深層にあるものを浮き彫りにするのが得意な人です。「グレートリセット」という題名でもあり、内容は歴史的に大不況の後にはつねに社会経済的なリセットが起き、新たな構造やトレンドが産まれ、それによって社会経済的な繁栄がもたらされるということを書いた本になっています。

この本の中で、取り上げられている次代を担う新しい消費トレンドの層を「ニュー・ノーマル族」と名付けています。クルマを欲しがらず、郊外の大邸宅を欲しがらず、都市に住んで徒歩・自転車・電車で通う人たち・・・。概念としては、ニューノーマルの一部がクリエイティブクラスと捉えたほうがいいようです。

この「ニュー・ノーマル」ですが、今の東京に住んでいる私たちからしたら、すでに驚きではなく、身近な風景になっていると思います。以下、いくつか記述を紹介しますね。


実際の品物、とくに贅沢品に対する需要は減っているが、消費意欲がなくなったわけではない。対象物が変化しただけだ。経験に対する出費、たとえば旅行、ウェルネスやフィットネス、娯楽、自己表現、自己啓発などは、人気が衰えない。

クリエイティブ・クラスの人々は、こぢんまりした住宅に住み替えてエコカーに切り替えても、漫然とすわっているだけでは満足できない。彼らは相変わらずレストランを捜し、文化イベントを追い求めるだろう。家族をカヤック漕ぎやスカイダイビング、「ボランティア・バケーション」に連れていったり、ビール醸造や家庭菜園、家具づくりなどに取り組んだりする。

新製品や新しいサービスの新市場を活気づける一方、自給自足やDIYの精神を実践しようとする。

人生で成功した裕福な人は、有名ブランドを着てロゴを見せびらかすのではなく、消費しないこと、あるいは賢い消費をする能力を誇示する。環境に優しく、政治的に正しい消費の仕方だ。これは、名誉の勲章だといえる。

この本でも、記述されていますが全員がこういった考えをもっているわけでなく、「大きなクルマ、大きな住宅にあこがれる層もまだ多い」のです。しかし、新しいトレンドとして、上記で紹介したような「小さいことはいいことかもしれない」という消費環境が産まれてきています。そして、その分のお金で生産的な消費を楽しむ人たちです。

90年代、川勝正幸さんが世界中のポップカルチャーでシンクロニシティが起きている状況を「世界同時渋谷化」と表現しましたが、この「ニュー・ノーマル族」「クリエイティブ・クラス」に起きていることは世界中同じのようです。いや、もしかしたら不況が深刻だったからこそ、日本が先頭走っているかもしれません。


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2011/08/02

物が売れないのは、消費より生産することが楽しい時代になったから。

「消費欲よりも、生産欲で満たされている人は、人生楽しそうだなぁ。」ソーシャルメディアで活躍している人々に会うと、特にそう感じます。自分も自ら積極的に生産していく側の人間だからかもしれません。

自分のプロジェクトを持っていたり、問題意識を持って何かに取り組んでいたり、ブログメディアをやっている人だったり。みんな何らかの生産意欲がある人達は、元気です。

で、ふとtwitterにメモっておいたのが以下です。


自分メモ。「消費好き>生産」の人と「生産好き>消費」の人で世界が別れてるのかも?twittetなどでフォロワーが多いのは後者。less than a minute ago via Echofon Favorite Retweet Reply


確か、UST番組「創職ステーション」に向かう間に、電車でメモりました。

消費意欲の減退とか、なぜ若者はものを買わないのか?と言われてずいぶんと時間が経ちます。「もう物は満たされているとか」、「一通りの物が揃った中で育ったから・・・」、「草食系なので、モテるために消費する必要がないから・・・」とかいろいろな理由が言われています。
しかし、本当は社会が成熟して、消費より生産が楽しい時代になったから!じゃないかなぁ。

自分も生産欲で満たされているときは、消費活動が低下します。人から与えられて強制されてやっている生産活動(仕事)の時には、憂さ晴らしのための消費が伴います。しかし、自分が感じた課題に向かっている人は、憂さ晴らしのための消費は必要ありません。

さて、「消費好き>生産」と「生産好き>消費」の人が別の世界に住んでいるというのは、この差には大きな溝ができていると感じたからです。

情報の取り方や、時間の使い方、消費するとしても吊しじゃない手間のかかることを楽しみ方ができたり、受動的な娯楽(テレビやパチンコ)との距離感が違ってきているからです。自分で旅行プランを組み立てるのだって、生産的な消費ですし、パーティを主催して、イベント開催の企画をするのも生産的な消費だと思っています。どちらのポジションにいるかで、人生をポジティブに愉しむのか?それとも楽して過ごすことが愉しみと感じるのか?が分かれるでしょう。

この軸は、クラスター分類するときの上位項目として成立する気がします。さらに、日本だけではなく通用する軸だと思っています。まだ、自分の中でもおぼろげにしか見えてないのですが、この視点で観察してみようと思っています。

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2011/08/01

金融機関の評価軸で作られた「属性」評価社会をぶっ壊せ!



今までは、金融機関が融資評価として使う「個人属性」が、日本社会に蔓延しているヒエラルキー思想に広まっているように思えます。

日本社会のヒエラルキー思想というのは、年収の多寡で人を判断したり、どこの会社に属しているか、肩書きを気にする社会のことです。

金融機関の融資判断って、個人の場合は、勤続年数、勤務先、年収、持ち家の有無、未婚か既婚か・・・といった評価軸です。

勤続年数は長いほうが有利で、勤務先は上場企業で社員数が多いほうが高い。民間企業よりも公務員のほうが評価が高く、士業も有利。年収は当然高いほうが有利で、なぜか持ち家が有って、結婚しているほうが評価が高い。

これが、日本社会のヒエラルキー判定にいつのまにか広まってしまったのではないでしょうか?

そもそも、なんで持ち家有りのほうが有利なのか? 民間企業よりも公務員のほうが有利なのか?という理由に今現在ロジカルに説明できる人はいないでしょう。

さて、その上でやっと違う評価軸がやっと出てきだしている兆しを感じます。「信頼」の評価軸です。いままでもあったものの見えなかったものが可視化されてきている動きです。

個人の人物評価が、web上に残っていくことで信頼を確認できるようになってきています。blogの評価、発信している内容、繋がっている人たちとの親密度、書籍などを出していればその評価、過去に仕事やプロジェクトを一緒にやった人からの評価など。

誰でも評価されて可視化されてしまう社会を監視社会だと捉える人もいるかと思いますが、僕は違うと思っています。今まで一元化されていた「銀行から見た属性評価=お金を貸したら返ってくるのか?」とは違う「信頼の評価=一緒に仕事をする、仲間になるのに適しているのか?」という新しい評価軸を手に入れられるようになるからです。

そして、この「信頼の評価」が高い人たちは、銀行などの間接金融のシステムを必要とせず、自分たちのプロジェクトや解決したい課題に共感してくれた人から、お金や人的パワーや知恵が流れ込んでパワーが持てる時代が来るでしょう。

こうやって、日本社会を覆う閉塞感の原因の一つである「属性ヒエラルキー」が薄まっていけばいいなぁ。だからこそ、僕らは銀行属性とは関係ないところで、古くて新しい信頼評価での成功事例をつくっていく必要があると思っています。


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