■住む場所の重要性はむしろ増している
どこでも仕事できて、どこにでも移動することの時代。しかし、住む場所の重要性はむしろ増してきているように感じられます。
リチャード・フロリダの「クリエイティブ都市論」にも住む場所の重要性について要約すると以下のような主張があります。
トーマス・フリードマンが「世界はフラットになった。どこに住んでいようと、グローバル経済に参加できる」と主張するのに対して「世界はフラットではない。世界は鋭い凹凸があって『スパイキー』だ」
グローバル経済の波とテクノロジーの発展をもってしても、なお「住む場所」が人生、つまりは職業・職業的成功、仕事の人脈、快適な暮らし、伴侶を見つけることに影響を与えている。
たしかにその通りで、人生の中で「自分の住みたい場所」に気がつくことはものすごく価値が高いことだと思っています。
僕自身が、三宿というエリアに住もうと思ったのも、都心に近いのに緑が多く、クリエイティブな人(昼にスーツじゃなくブラブラしている人)が集まる地域だというのが大きかったです。面白い人が集まる美味しいお店が多く、IIDのような地域に開かれているクリエイティブな場所があることも重要なポイントです。渋谷や代官山、恵比寿に近いので、人と会いに行きやすく、人的ネットワーキングが構築するのに便利だということもありました。
以前、「どの時代にも才能が集まる場所がある。重要なのは無名でも刺激しあえる仲間を見つけること」というエントリーを書きました。この観点で東京はまだ魅力的な場所だと思っています。(僕の感覚では「東京」という括りは、当事者感を持つには広すぎるのですが…)
■「地方自治」も個人が「当事者」として関わる時代
さて、ここまで「住む場所」の重要性について書いてきましたが、もう一つ「自分が好きな場所に住む意義」があると思います。それは、自分が住んでいるエリアに対しての「当事者」になれるということ。従来、そのエリアに住んでいる人は行政サービスに対しての受益者という側面しかもっていませんでした。しかし、自分が好きな場所であれば、行政サービスや地方自治の主体者として自分の能力を提供したいと自然と思ってきます。TechWaveの『「これからの地方自治は明るい」と断言できる根拠』というエントリーも同じ流れを紹介しています。
自分が好きな場所をより素晴らしい場所にするために、手を差し伸べるのは「自分ごと」だからでしょう。地域に根ざした企業や、地域でビジネスを行っている商店も、「自分ごと」として活動を行うでしょう。
だからこそ、住む場所(都市)の力はフラットではなく、スパンキーになるのだと思います。「自分ごと」と思える人や企業が多く集まるエリアは、どんどん魅力的な場所になっていきブランドを確立していきます。一方で、そう思えない地域は、地方自治は国に依存しながらやっていくことが続くでしょう。
追記:ポートランドでの事例がイメージわきやすいかもしれません。すでに講義は終わっているみたいですが、以下引用です。
アメリカで29番目の人口都市であるにも関わらず、NIKEやワイデン+ケネディを始めとした世界に誇れる企業やカルチャーが生まれ続けているインディペンデントなクリエイティブ都市ポートランド。美味しいコーヒーショップがなければ自分たちでローストして創ればいい、カッコイイ自転車がなければ自分たちでセルフビルドして創ればいい、といつもクリエイティブなDIY精神で、大都市経済に流されず自立した存在感が凛々しい都市ポートランドに、クリエイティブクラスのヒントを学びます。
今後、スコットランド、シドニー、香港編もあるみたいだから参加してみようかなぁ。クリエイティブ都市に複数拠点を持つのが、自分への最高の投資なんだろうなぁ。
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