資本主義とテクノロジーの進化によって力を持ち始めたのは、国を凌駕する影響力を持ったグローバル企業と、国に頼る必要のなくなった個人。この2つの種族が有利な立場になり、一方で相対的に力を失ったのが国家でしょう。
そして、この2つの種族を引き寄せる力を持っているのが、魅力ある「都市」。シティセールス、有能な移民の獲得競争、企業誘致競争、都市間のアクセスを良くするインフラ投資、税金の優遇策…と、都市間競争は世界的に見るとホットな分野です。
もちろん東京は世界の都市競争で戦える土俵にいるわけですが、東京が日本の「首都」であることが、都市間競争で戦略的なポジションを取りづらくしているのではないでしょうか?
「都市の理論、国家の理論」 Follow the accident. Fear the set plan.には、こんな記述がありました。
ビジネスは規制の少ないところを求めて移動する。人はより大きな自由やチャンスがあるところに移り住む。とはいうものの、国境を超えて移動するのは今日でも簡単ではない。
移民やビジネスの規制が撤廃された完全に統合した世界では、より良い場所を求めてビジネスも人も移動を続けるのだろう。そして都市間にはより激しい競争が生まれるはずだ。
そうした環境下では、世界の都市はジップの法則に収斂するのかもしれない。私たちがよく口にする「グローバル化」は、ジップの法則に近づくことだとしたらどうだろう。
都市は自律的に成長し、統計区分や州などの「小さな恣意性」をのみこんでいく。だが国家という「大きな恣意性」をのりこえることはできない。
都市はみずからの論理を追求し、国家はそれを抑制しようとする。本来的に相反するこのふたつの力が背中合わせの「首都」ほど奇妙なものはない。
もちろん、シンガポールやモナコのような都市国家は、他のエリアが存在しないのだから矛盾を抱える必要はないでしょう。
国家としては、全体最適を考えなければならない。不採算部門だからといって切り捨てることはできない。そうすると成長部門に資源の配分を行う原資も、不採算部門を維持するために使わざるを得ない…。この力学は首都である東京が尖った戦略をとりづらくしている。
まるでかつての日本を代表する企業が成長戦略を取れずに、一方で世界マーケットに勝負しているベンチャーが資源は少なくとも尖った戦略を取りマーケットを奪われているのと同じ構造。。。
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じゃあ、どうすればいいのか?
小さい単位ごとに尖った戦略を取れるようにするしかない、と考えています。つまり日本→首都=東京という捉え方ではなく、東京=集合体(新宿、原宿、渋谷、品川、秋葉原…)として、小さい単位での都市競争を優先させる。その上で、それらの魅力あるエリアの集合体として、東京という競争力のある都市となる。実際、東京が世界の都市間ランキングで上位に入っているのは、この魅力あるエリアの集合体での東京都市圏の評価が大きのではないでしょうか。
さて、首都は東京という決まりは必要なのでしょうか?
「国の機関は東京に集中しているけれども、首都だからあるわけではなくて、都市として便利だからたまたま日本の中で東京にある」ということのほうが都市間競争の時代においてはメリットがあるでしょう。機関ごとにより便利な都市があれば移転を選択すればいいでしょう。
首都機能の移転とかそういう議論ではなく、首都という概念を辞めるほうがスマートに感じます。
もはや首都という冠が邪魔になる時代なのであれば、それを返上するという選択があっても、面白いと思うのですが。国家の時代から都市の時代を経て、個人にパワーがシフトしていく流れの中での、エポックメイキングな出来事になると思うのですが。
極論でしょうか?
追記:いろいろ調べていると、東京が首都だという明確な法律はないとのこと。(wikipediaからですが)
2014年現在、日本の「首都」は、一般的に東京都ないし東京と解されている。これは、日本の法令で初めて「首都」の語を用いた「首都建設法」(昭和25年法律第219号)が、東京都を首都と解していることによるところが大きい。ただし、同法は1956年に廃止されており[1]、現行の法令で「首都」について直接的な表現を用いて定めるものはない[2]。
日本では歴史上天皇による朝廷の下に、国際的には時に「日本国王」「日本国大君」とも称された征夷大将軍による幕府のような武家政権が存在したことや、東京と京都の両京制(東西両都)などの面から首都の議論があり、現在も法律上では「どの都市が首都であるか」という明確な定義がなされていないため、「首都は現在の首都圏にある東京である」という意見の他、「現在も京都と東京という2つの首都が並存している」「京都が正式な首都である」等、様々な首都論・首都認識がある。ますます「首都」である必要性がわからなくなってきます。。。
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